合同会社臨床運動障害研究会

ドミニカ共和国レポート

臨床運動障害研究会スタッフの清水康弘が、理学療法士として2012年9月より(2年間)ドミニカ共和国に赴任しました。
青年海外協力隊では、どのような面接・語学研修を経て海外へ飛び立つのか?また、現地でどのような活動を展開するのかをレポートさせて頂きます。
少しでも同じ目標を持たれた先生方のご参考になれば幸いです。

レポート24 未来を信じて。

平成26年4月30日


今月はSemana Santaという日本で言うところのG.W.のような休みがありました。ドミニカ共和国で迎える最後のSemana Santaは天気も良く、ボランティア仲間と海で過ごすことが出来ました。

 

今までは希望者のみの参加であった勉強会ですが、実習に来ている学生達が参加したいと訴え、先月初めCPから時間をしっかり作るからセラピスト全員に向けての勉強会にして欲しいと言われました。これも当初から提案してたんですけどね。時間がかかりましたが、なんとかこういった形までもってくることが出来ました。今月も第一金曜日に勉強会を実施しましたが、午前で実習終了の学生も任意で残ってくれ、また実習がないのにわざわざ来てくれる学生もいて勉強会に参加してくれました。こういった状況の変化に、頑張ってやり続けてきてよかったぁっとホントにうれしく感じます。

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週1回の支部訪問も継続して行っています。
最近はJICA専門家の方々のご協力のおかげで、北部の都市San Francisco de Macorísの病院でDr.やNs.に対してプレゼンさせていただく機会を得ました。整形Dr.も参加してもらえ、現状訴え、協力依頼をすることが出来ました。また、保健省管轄の東北地域病院長会議にも参加させていただき、プレゼンを行い現状訴えと協力依頼を行いました。病院長会議なので、様々な専門のDr.が参加しており、整形出身院長も参加していました。プレゼン後の質疑応答は何故かその院長が進んで答えてくれていました。またある院長からは「もっとRHと関係を築いていくべきだ」との意見も出ました。しかし前述した勉強会同様、ドミニカ人は行動に移るまでがすごく時間がかかりますが、プレゼンさせてもらったことで少しでも認識を変えるキッカケになればと思います。

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ある支部ではプレゼン後に支部長が、「もっと広める必要があるよ。今からこの事をラジオで流してもらいましょう」と提案し、そのままラジオ局に連れていかれラジオデビューを果たしました。オンエア中に支部長の携帯が鳴り、その電話に応答するハプニング付でしたが、僕もいろいろとイイ経験をさせてもらっています。

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地方では上記のようにいろいろと普及活動出来ている一方、私の配属されている首都では、プレゼンをさせてもらう場を探しているのですが、なかなか進んでいないのが現状です。配属先では昨年末から入院設備が整い、opeがおこなわれるようになりました。配属先の整形Dr.部長と話をし、配属先に在籍しているDr.相手にプレゼンさせていただけないかと相談しましたが、こちらもまだ行えていません。いろんなシガラミがあるようですが、なんとか手を変え品を変えて探っています。

ドミニカ共和国第2の都市、Santiago支部でプレゼンした際、Santiagoの若いDr.が早期RHを推奨して行っているとの話を聞きました。年配のDr.だと考えが凝り固まりすぎて、認識を変えるのは難しいかもしれません。しかし、若いDr.達が先進国のイイ所を取り込み実践していってもらえれば、ドミニカ共和国の医療の未来も明るいものとなると信じています。

当初の「急性期RH普及活動」の目標は、普及活動後に再調査をして、以前おこなった調査とどれだけ変化があったのか見比べるまでやりたかったんですが、前述通り首都での普及活動が思うようにいっていません。僕の任期もあとわずかになってきているため、在任中に「急性期RH普及活動」がどのくらいの変化をもたらせたのか等の結果や明確なGoalに到達することは難しいと思います。しかし、Dr.だけでなくドミニカ共和国民全体の認識が少しずつでも変わっていってくれればと願い、継続して活動していこうと思っています。

 

レポート23 方法論

 

平成26年3月30日


先日、代表の奥田より救援物資をいただきました。ありがとうございます。ドミ共ではだいたいの物は売ってますし、大概の物は持ってきてたつもりでしたが、やはり生活してるといろいろと不便な事や足りない物が出てきます。先日も知人から日本製のある袋入りラーメンをお土産としていただきました。衝撃を受けるくらい美味く、海外生活をしているから尚更日本技術の高さを再認識した次第です。PCも既に何度か故障してますが、他国にいる同期PC隊員の協力もあって現在は何とか動いています。あと半年、何とかもって欲しいと願うばかりです。

配属先で配属先Director等の偉いさん、JICA所長も参加しての中間報告会が行われました。通常、中間報告会は任期2年間の中間に行うものですが、いろいろと事情が重なり、僕の残り任期が半年程となってしまった今月の開催となりました。今更もうええやんって思いましたが、配属先Directorも参加してもらえるということで、以前提案したけど現在進行していない案件について再確認出来るよい機会ととらえて報告会に臨みました。

配属先にはPO部門が併設されています。日本でPO部門が併設されている病院施設はあまりないと思います。しかし配属先には併設されているので、いろいろと融通が利きやすく、まさにセールスポイントであると思います。しかし、RH室に練習用下肢装具がありません。下肢装具をRHで使用することで、セラピストからDr.やptに提案出来る、RHを効率よく行うことが出来る、そして収入が少ない貧困層ptが事前に体験出来、必要具合を考えて納得して購入してもらうことが出来る、等々のメリットがあると思います。このことを昨年の8月にCPに提案し賛同を得られ、9月には上層部からの許可も得て、依頼書がPO部門まで行きましたが制作に至らず。。。。何度かPO部門まで確認しに行きましたが、「忙しい」「彼に依頼したから」等ラチがあかなくなってました。これも認識の違いや各部門間の連携・興味のなさから起こっていることだと思います。

今回の中間報告会でDirector等上層部に向けて、今までの活動、これからの活動について話し、その中でAFOの話も含めました。結果、Directorはかなりお怒りの様子でPO課長に「何で協力出来ないのか。いつ出来るのか。」と発表後の感想として尋ねていました。おかげで来月から制作に取り掛かるとの返事をいただきました。

僕としては依頼して半年以上経ちましたが全く進まず、残り任期が短くなってきています。配属先は本当に必要と思っているのか、必要と思っているのであればこの現状をどうとらえるのかといった所を、私の活動すべてに対して確認したかったのです。ただ今回のように上司からの「命令」として下してもらうやり方は、適切なのかどうかは解りません。しかし私はボランティア自身が配属先に本当に必要だと思うなら、皆の理解を得るのは後付けでも良いので、時には強引なやり方も必要だと思っています。それだけ私にはプレッシャーはかかりますが。

 

まさに「鳴かぬなら、、、、」だと、

「殺してしまえ」では犯罪になるし、「鳴くまで待とう」は時に必要ですが2年間の任期ということを念頭に置く必要があります。

大河ドラマに影響されてるわけじゃないですが、何とか「鳴かせてみよう」とあの手この手を使い試行錯誤しています。

レポート22 新年会

平成26年2月28日


1月は大使公邸で在ドミニカ日本人相手に新年会、移住している鹿児島出身者からなる鹿児島県人会におよばれ、2月は大使公邸でJICAボランティアに対してのみの食事会が催されました。久しぶりにたくさんの日本食を食することが出来ました。帰国後にいろいろと食べることが楽しみです。

「急性期RH普及活動」も本格的に動き出し、いろいろと忙しく活動しています。

急性期RH普及活動として、まず啓発ポスターを作りました。受傷後やope後から一般的な経過時期によっての症状やRHについて記載しました。当初はポスターと一緒に配布用パンフレットも制作する予定だったんです。でも「青少年活動」の同期隊員と話している中で「パンフレットって結果、ゴミになるんだよね」という意見が出ました。確かに、ゴミのポイ捨てにより排水口を塞いで雨が降ると道が氾濫します。制作するにしても必要最低限の枚数って判らないですし、JICAボランティアの一方ではゴミ問題について活動し、もう一方ではゴミを作るって矛盾してるなと思い、パンフレットは止め、その分をしっかりした素材でポスターを作ることにしました。

この啓発ポスターをドミニカ共和国に約30あるADR支部に貼るのが、まず1つの目標です。これについては配属先Directorから快諾を得ました。貼るだけではなく、同時にセラピストに対してプレゼンをおこない理解を深めてもらう必要もあります。しかし、先日も記載しましたが、RHに来た時にはすでに遅い人が大半なんですね。それにドミニカ共和国には識字力が低い人がたくさんいます。そのため啓発ポスターをしっかり読めるという人は多くはないと思っています。でもRHに来た人がセラピストから聞いた話を、家族や友人が同じ状態になる前に話してくれるのではないかと期待しています。

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そして、ADR支部は半分程が病院に隣接しているか、同敷地内に建てられていることを知りました。そのため、何とか整形Dr.に説明し理解を得て病院にポスターを貼ってもらい、Dr.から直接ptに対して急性期RHを説明してRHを促してもらうといった協力を得られることが、もう1つだと思いました。日本でもそうですが、ptにとってDr.からの言葉って重みがあります。私は今回の啓発活動において、この後者が重要であると思っています。これが通常のことになれば、ptが言っている「知らなかった」ってことは無くなるはずです。

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 配属先課長の許可も得、今月から週1日、ポスターを持って支部訪問を始めています。支部訪問に当たっては、同僚が1人同伴してくれ、支部所属セラピストに対してプレゼンを行ってくれています。支部を訪れると、私の配属先に学生として実習に来ていたスタッフが何人か在籍していました。彼らは僕のことを知っているため、すすんでプレゼンに参加してくれ、プレゼン後の意見交換も活発です。同僚もプレゼンの度に話が上手くなり、いろんな質問に対して僕に尋ねることなく答えています。同僚の認識が向上していることが解り、僕もうれしくなる時です。いくつかの支部から「じゃあ、リハビリ期間が短くてすむから、患者さんはお金も時間も少なくてすむよね」という意見が出ました。まさに私が狙っているところ。リハビリ費用はいくぶん保険でカバー出来る部分もあるのですが、現状では患者さんは仕事復帰まで到底難しい状態です。「仕事が出来なくなる→貧困層が増える→犯罪が増える?」といった悪循環になっていると思います。

いろいろな支部を回り、多くの出会いもあり、そういった部分にも目を向けられるセラピストがいることを知り、非常にうれしく思っています。

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